日本の海を行く。
エスオーシーマリン、航海の一日


秋芳鉱山で採掘された石灰石を運ぶ16.5kmのパイプラインの終点、山口県仙崎港。
埠頭の先には、荷積みの開始を待つ、13,000重量トンの大型石灰石専用船「しまんと」の姿が。



大きな船体がゆったりと浮かぶ様子は、仙崎の入り江が小さく見えるほど。



夜から早朝まで、7時間を掛けて「しまんと」の船腹への荷積みが行われる。甲板員と陸側作業員が連携をとりながら、次々と船倉を石灰石で満たしていく。



大量の石灰石が続々と荷積みされる間にも、船長の指示の下、船員たちは持ち場で出航に向けての準備に、慌ただしい時間を過ごす。



機関長・機関士は機関の最終調整に。



操舵室では、航海士が海図のチェックや機関室との連絡を慌ただしく行う。



やがて、出港の準備が整い、大きな「しまんと」の船体は、ゆっくりと仙崎の埠頭を離れ、



巨体を西に向けて関門海峡を目指す。



日本海洋上で、僚船とのすれ違い。UW旗を掲げて、航海の安全を祈る。



まもなく、このルート最初の難関、関門海峡が近づく。船内に緊張が走る。



海峡の幅はわずか600m。
潮流の速さ・向き、船舶通航量の多さ、航路の複雑さも加わり、高度な操船技術が要求される海域だ。
この海峡を管理する海上交通センター「関門マーチス」との連絡を頻繁に取り、慎重な操舵を行う。



関門海峡大橋をくぐる。
関門海峡は大型船舶も航行する重要航路であることから、桁下から海面までは61mの高さを確保している。



周防灘に入る。午後の日差しが海面をまぶしく照らす。海を吹く風が肌に心地よい。



やがて日没の時間。周防灘に没する赤い夕日があたりを包む。



交代で休憩をとる船員は、風呂に入ったり、個室でくつろいだりと、ゆったりリラックスした時間を過ごす。
しかし、深夜、「しまんと」は瀬戸内海航路最大の難関といわれる来島海峡に差し掛かる。
海峡付近には島が多く、潮の流れも速い。
一日約1200隻が航行する。
春には霧も発生しやすい。
夜間勤務の船員たちは、安全航行を支える最新機器を駆使しながら、漆黒の闇の中、巨大船を操る。



夜明けが訪れると、目的地、兵庫県赤穂港も近い。穏やかな海を包む朝焼け。甲板作業の合間に、ふと美しい朝の海の表情に目をとめる。



操舵室でも、船長や手の空いた航海士がモーニングコーヒーを片手に、一日の航海の始まりの時を過ごす。



目的港が近づいてきた。石灰石を積んだ船倉を覆っていたカバーが、巨大なローダーで開けられ、着岸作業の開始に備える。



住友大阪セメント赤穂工場に隣接する赤穂港が見えてきた。



着岸の作業がてきぱきと進められる。



着岸するとすぐに荷揚げの作業が始まる。巨大なシャベルが大量の石灰石を軽々と持ち上げられる。



停泊のための作業と、交代船員との引き継ぎ、各部署の最終確認が行われ、ひとつの航海が終わる。お疲れ様でした。